Things We Said Today
〜今日の誓い〜
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私的テレワーク論 | |
ウォーキングで体脂肪を減らすには(後編) | |
体脂肪はどのように落とせばいいのか(中編) | |
体脂肪はなぜ落ちにくいのか(前編) |
コロナ禍が始まって話題になったものに「テレワーク」というものがあります。リモートワークともいうのかな。お読みの方でご存知の方もいらっしゃると思うのですが、オフィスに出社せず、在宅や喫茶店などで仕事するっていう最新の働き方です。自分はそういう働き方が基本的にできない仕事なのですが、コロナ禍で特例としてテレワークがあったし、その後も在宅でZOOM研修とか、出社して社員研修を動画で見るといった機会は何度かあったので、ある程度テレワークについて感じることが出てきました。
テレワークについては論評する人の立ち位置で筋立てが最初から決まっています。大体無条件で賛美するか、貶すかのどちらかですね。ネット上の記事だと途中から「というわけで我が社のセキュリティソフトを買って下さい」みたいなものも多いです。ここら辺、自分は特に誰からもお金をもらうわけではないので好きに書けますので、率直に「テレワーク、私はこう思いますよ」的な話を書いておこうと思います。
いきなり結論から書きますが、テレワークは部分的に制限を加えれば、ある程度の経験を積んだ社会人にはよいと思います。一方で、制限を加えないテレワークや、経験不足の社員へのテレワークは避けた方が無難だと思っています。ここからは理由なので、結論を読んで満足した人はこの先読まなくていいです。年に1回の更新なのに親切設計ですね。
実は無制限テレワークはコロナ禍初期、あの緊急事態宣言中にやっただけです。なので、その後のフルリモート在宅勤務は経験してないので完全には分からないんですが、あれやった時点で「ああ、多くの人間はテレワークできないな」「いつかコロナが落ち着いたら、テレワークは減るんじゃないかな」と思いました。ネットの記事なので信憑性は分かりかねますが、欧米では出社回帰への動きが見えるとのことです。セミリモートという1週間に2日は出社するとか、そういう会社も増えているようです。
そうなる理由は簡単で、人間は他人の目がないとサボるようにできているからです。自分のリモートワークの時は、コロナ禍で開店休業になり、有給休暇を使いたくない社員がいる一方で使わせたらどこかへ行く気満々の社員がいて、「絶対あいつ感染するだろうな」みたいな話から「とりあえず家で大人しくしとけ」みたいな性質だったんです。一応家でやる仕事は持って帰ってましたし、自分は比較的電話で連絡の来る立場だったのでTwitter(現在はXになりました)で見た「テレワークを始める連絡したら定時連絡まで寝てしまう」はやめましたけど、あれはやろうと思えばできたなって正直思います。
一方で、制限ありのテレワークはなかなか面白いなあと思います。出社してオフィスでの社員研修は正直アリです。ある程度仕事ができる年齢だと、仕事の技量向上に研修したいことが多いと思うのですが、同時に仕事もそこそこ抱えているので時間が取れないんですね。出社して、仕事の合間にオンデマンド研修なら限られた時間で技量が向上が期待できると思います。
ただ、新入社員や経験の浅い社員だと、そもそもこういう合間のリモート研修を含め、テレワーク全般はダメだろうなと思います。前述の通りテレワークは一人で仕事するわけで、真面目な人は不安になるし、不真面目な人はサボるだけで終わります。ある程度仕事を調整できる自分でも時間を持て余したときがありました。仕事の管理ができない若手にテレワークは向かないと思います。合間の研修も、仕事のイロハを知る前に動画で見たところでちんぷんかんぷんなだけです。
確かに、自分が若い頃も意味の分からない研修はありました。名古屋市中区のオフィスに集められて、経営コンサルタントの話を聞いたり、マナー講師の話を聞いたりしました。対面ですよ。20年前ですからね。動画ではなかったんですね。伏見の研修場所で解散して、終わった後に同期と喫茶店に行きました。コーヒーを飲みながら「結局今日の研修ってなんだったんだ」という話を30秒した後、営業先の現状報告を1分話して、あとは30分くらい他愛もない話で今思うとあれなんだったんだろうとも思うんですけど、ああいう瞬間が外で研修する楽しさみたいなところはあった気がします。やっぱり一人じゃないって大きいんですよ。自分が受けた社会人研修を世の中の人全員が受けたわけではないんでしょうけど、やっぱり「働くって大変だな」と思いましたし、同期と「大変だよね」みたいな話をしたのは決して悪いものではなかったと思います。動画だとそこで完結しちゃって、「どうしよう、分からなかった」って不安だけが残るんですよね。上司も一緒になって見て、横で解説するわけではないから、若い人に動画見せて社会人研修完了ってのは難しい気がしています。
一方で、自分が興味ある分野での勉強会にテレワークはすごく便利です。遠方の教授とZOOMでつないで講演会を聞いた経験はコロナ禍で何度かありましたが、非常に刺激的でした。その気になれば海外在住の先生だってZOOMで話が聞ける時代です。自分の知見を広げるために、リモートワークは大いに期待できる分野です。だからある程度の基礎力があれば大いに使うべきものだと思います。
後で読み返すと賞味期限が切れるのであんまり時事ネタは書きたくないんですけど、でもたぶんこのままだとオチがないのでオチに使うんで書きますけど、これを書いてる最中は自民党の松川るい氏や今井絵理子氏がフランスで研修しましたと言いつつエッフェル塔前の記念写真をSNSに載せたり、ばっちり観光したスケジュールが出たりして、「ZOOMでやれ」と炎上してます。自分も「わざわざフランスで現地研修しないといけないほど差し迫った事情があったのかな?」と懐疑的です。
ただ、ZOOMで6時間研修するっての、昼食休憩あってもめちゃくちゃ疲れるんですよね。オンデマンドだと一方通行なんで、最悪ぼーっとしてるとか、あるいは「とりあえず資料的にこの辺がポイントだな」なんて飛ばして見るのもできるんですけど、よっぽど好きな分野でもないと苦行だろうなと思うんですね。
あと1年くらい前に主治医と雑談してたんですが、学会の発表がコロナ禍でリモートになったそうなんですね。家にいながら学会発表が見られる。あるいは発表もできる。手軽なんですけど、先生としては物足りないそうなんです。学会発表でわざわざ地方に出張し、前乗りしてそこの美味しいものを食べ、発表をした後は旧友と打ち上げして酒場で飲みまくり、その夜は温泉に浸かって次の日帰ってくる。そういうのがない学会はつまらないというんです。
だから、フランス行きたいからついでに研修するのか、研修先が偶然フランスでせっかくだから観光したのかは分かりませんけど、現地研修したら観光とうまいもんがセットだろって言う自民党議員団の感覚はちょっと分かるんですよ。実際、SNS見てると「ここの政党はここで研修してる」「別の政党はここで研修してる」みたいな話もあって、いつもなら威勢のいい発言で与党批判をする政治家がフランス研修だけはSNSで沈黙を守ってるようだ、なんて話もあります。
実は出張は全部無駄だ、全部テレワークにしろ、というのもちょっとまずいなと思っています。テレワークは便利です。経費も削減できます。時間も節約できます。ただ、基本的にはフェース・トゥ・フェースが重要だとも思うんですね。
この前、iPS細胞の山中伸弥先生が書いた本を読んでいたんですが、山中先生がよくアメリカに行く理由(あ、コロナの前ですよ)が興味深かったんです。アメリカの最先端医療や創薬、再生医療、基礎研究などの分野の新情報は日本にいても手に入ります。ビデオ会議をして、メールをして…。ただ、本当の最新情報は現地で顔を合わせて、食事をしながらの雑談でもないと得られないのだそうです。現地に足を運ぶ意味というものもあるとは思います。
ただ、おそらくなんですが、山中伸弥先生が(個人ではやられてないはずですけれども)SNSに「アメリカに着きました。」とアップロードしたところで、「遊んでる場合か」と炎上してワイドショーのニュースになるとは思えないんですね。(旧Twitterはキ○ガイの巣窟なので仮にやってたらそういうクソリプは3個くらい絶対つくと思います)やっぱり、日頃の仕事ぶりの印象でそう見られているのかなと思います。テレワークが無条件でいいとか悪いとかではなく、目的や状況に応じて、柔軟に対応できる世の中になればよりよいのかなあと思います。自民党議員団だって、ZOOMでやってれば批判は…あったかもしれませんねえ…自民党ですから…。今井絵理子氏は政治資金パーティでSPEEDファンのおっさんにビールお酌して回ってるみたいな印象があります。違ったらごめんなさい。
しっかし、本当に自民党女性議員団の研修先、フランスってのはセンスがないなあ、炎上するに決まってるよなと思いますね。やるにしてもSNS投稿は有り得ないし、フランス、イタリア、スペインあたりは避けた方がいい。「キラキラ女子気取ってるんじゃねえぞゴルァ」とかになるに決まってます。もっとイメージを変えて、「ミャンマー奥地追跡3000km!謎の原始猿人ナトゥーを追え!!」とか、「アマゾン奥地1500キロ!テラプレータの密林に謎の猿人ジュンマは実在した!!」とかだったら支持されたと思うんで、是非今井絵理子氏は藤岡弘、先生と一緒にジャングルでロケしてほしいです。ダメか。
※運動は始める前には必ず主治医の診察とメディカルチェックを受け、運動種類や強度等の指導と許可を得て下さい。特に基礎疾患のある方は運動療法の可否も含めてよく確認して下さい。
前回書いたとおり、自分にとってはウォーキングが最も続けやすい運動でした。運動にしろ食生活にしろ、継続することが大切です。自分は体重が90kg超えてから減量を始め、現在71kgなので20kgくらい落としたことになります。これは運動を継続できたことが大きかったと思います。昔から孟母断機やら、継続は力なりといわれますが、運動は中断するとすぐに効能が消滅します。体重が減ったから運動をやめていいわけではないのです。
ウォーキングの、というか運動の効能は数多くあります。運動によるエネルギー消費により、血糖値が下がります。つまり、糖尿病の予防や改善になります。血液中の中性脂肪が消費されると、悪玉コレステロールも合わせて減ります。つまり、脂質異常症(高脂血症)が改善されます。血管の状態がよくなるので、血圧が下がります。
さらには、慢性炎症も防ぎます。慢性炎症というのは、内臓脂肪から出る物質が原因で起きる、ちっとも収まらない種火のような炎症反応のことを言います。慢性炎症はガンをはじめ、高血圧、脂質異常、糖尿病、肝不全の原因のひとつになることが分かってきました。さらには近年では、慢性炎症がうつ病や認知症の発症にも関わっている可能性が指摘されています。
ウォーキングを1回やっても体重はほとんど減少しませんが、ウォーキング(運動)を日常的に続けることで様々な疾病を予防、改善できます。そして、食事に気を付けて運動することで、体重も緩やかに、そして健康的に減少していきます。
体重が減る、つまり体脂肪が減ると、内臓脂肪から出る分泌物が減ります。その分泌物の中には、前述したとおり生活習慣病の原因となる慢性炎症を引き起こすものがあります。運動することで筋肉量が増えると、筋肉から出る分泌物も増えます。その分泌物の中には、慢性炎症を抑えるはたらきをもつものがあります。運動で体脂肪を減らして筋肉を増やせば、慢性炎症はより早く治癒すると言えます。
運動では腹部の臓器、小腸、大腸が刺激され、排便が促されます。体内の老廃物、不要物は主として大小便から体外へ排出されます。汗もかきます。運動には、デトックス(老廃物排出)効果があると言えます。
運動により、自律神経を整えることができます。ストレスを解消させ、リラックス出来ます。
つまり、運動による効果は活性酸素の発生による発がんリスクやスポーツ障害等を別として、基本的に正のスパイラルが発生し、健康へ近付いていきます。そして、活性酸素やスポーツ障害は運動強度5メッツ以上で発生する可能性が高いので、ウォーキングの4メッツ程度であればそれらは低リスクと言うことになります。時間がかかることさえ除けば、ほぼリスクなしで健康を手に入れられるのがウォーキングなのです。
では、ウォーキングはどれくらいの頻度、距離、時間、強度を行えばよいのでしょうか。
ここで大切なのは、「一日」単位だけでなく「一週間」「一ヶ月」の単位でも考えると言うことです。例えば、自分はウォーキングの実施は
「時速6.5kmで歩き、1回10分以上、5分刻みでカウントし、一週間の合計を240分にする」
ことにしています。そして、
「その週で240分できない場合は赤字とし、次週以降0にできるようにする」
「240分以上できた場合、黒字にはしない」
といったルールも決めています。
ちなみに運動強度メッツ(※3メッツ以上)と実施時間を掛け合わせた単位に「エクササイズ」というものがあります。(例:強度3メッツの運動を1時間実施した場合、3エクササイズ)
早歩きウォーキング、強度4メッツの運動を1週間に4時間(240分)行うと「16エクササイズ」です。厚労省の推奨する生活習慣病予防に効果がある身体活動量の平均値は23エクササイズですから、実は240分のウォーキングだけでは足りていません。残り7エクササイズは筋トレやラジオ体操、家事労働などで補うしかありません。ジムに通っているから運動量は足りていると安心して家でごろごろしていると、身体活動量が不足して生活習慣病になります。これを海外では「アクティブ・カウチポテト」と呼ぶのだそうです。
一方で「一ヶ月の歩行距離は絶対に200kmを上限とする」「1回の連続歩行時間は原則60分を目安とする」等のルールもあります。これらはケガや、筋肉の分解を防ぐ狙いがあります。これらの自分ルールは、本で得た知識から決めたものもありますし、経験上から決めたものもあります。あるいは、現実的に実施できるルールにしたものもあります。
よくウォーキングは30分以上行うべきだ、という話があります。確かに間違いではないというか、理想を言えば30分以上歩ける方がいいです。前回も述べましたが、運動開始から15〜20分で糖質と体脂肪の燃焼比率が5:5になります。自分はこれを「ボーナスタイム」と呼んでいます。当然ですが、ボーナスタイムに突入してから歩くほど体脂肪は燃えます。可能なら60分くらいは歩きたいです。でも、それは仕事をしている自分には難しいです。そこで最低10分継続出来ればひとまずOKとしています。
実は、歩くことで行われるカロリー消費は、糖質と脂質の比率は変わりますが、合計30分の徒歩(たとえば10分の徒歩3回分と30分の徒歩1回分)ならば消費カロリーはほぼ同じです。10分程度のウォーキングではほぼ全て糖質が消費されますが、糖質は余れば体脂肪です。結果的に10分程度の徒歩でも、体脂肪が増えることを防ぐことができます。5分を6回でも理論上はカロリー消費が同じであると考えがちですが、1回5分の徒歩を自分はノーカウントにしています。理由は心肺機能、全身持久力の維持ができないからです。心肺機能の維持、強化を考えた場合、時速4km程度で10分のウォーキングであれば全く強化されません。10分、あるいは5分程度しか時間がないのであれば、ジョギングなど少し負荷を大きくする方が心肺機能維持強化にも、カロリー消費にもよいでしょう。
ウォーキングでよくある論争がウォーキングでは筋力維持出来ない、心肺機能も強化されないというものです。これはおおむね間違っていません。それは、この指摘が時速4kmのウォーキングを念頭に置いているからです。時速4kmは最も歩きやすい速度です。自分も最初のウォーキングは3kmを45分かけて歩きました。1kmを15分で歩くのが時速4kmです。確かに心肺機能と筋肉にはあまり効果がない速度ですが、血液循環には効果があります。今では全くありませんが、ウォーキングを始めた頃は10分くらい歩くと下半身に猛烈なかゆみを感じました。血行不良だったのでしょう。歩くことで血液循環がよくなり、慣れれば歩くときの速さも上がります。
自分は今、時速6.5km程度で歩くようにしています。信号等で待つ時間もあるので、実際は時速6km、1kmを10分で歩くタイムになります。信号の待ち時間は休憩せず、軽いスクワットや太もも上げ運動を続けます。時には少し走る動きを取り入れたり、時速7km以上で歩く時もあります。走った方が楽なくらいの早歩き(時速7kmは「ロッキー4/炎の友情」の主題歌「ハーツ・オン・ファイヤー」くらいのテンポです)や、軽いジョギングをウォーキング中、適度に取り入れる「インターバル速歩」というウォーキングがあります。この場合、心肺機能の強化や筋力の維持、少しですが強化も期待出来るとされています。生活習慣病の改善も、通常のウォーキングより効果が大きいという報告もあります。ウォーキングに慣れたあたりで、徐々に速歩やインターバル速歩へ移行することがよいと思います。
ただ、毎度歩きながら「ハーツ・オン・ファイヤー」を頭に思い浮かべるのは難しいです。自分は歩いた時間を記録し、初めてのルートの場合は帰宅後にGoogleマップで距離を確認し、大体の速度を計算する作業はしています。(慣れた道は大体の距離が分かっているので、徒歩の時間でほぼ速度が出ます)ここで消費したカロリーが出るので、その数値と食べたものを計算して差し引きでマイナスになっているかは確認しておきます。
運動を始めたのがコロナ前、2018年の12月でした。そろそろ4年近くになります。時間はかかりますが、お金はかかりません。そして、「次はどこを歩くか」と考えるのも楽しいです。
そう、ウォーキングは楽しいのです。実は学校での体育は苦手でした。体育というより体痛苦でした。今は趣味です。道楽です。いや、動楽というべきでしょうか。科学的な論拠を学びながら、運動を続けることでより健康に、より楽しく過ごせるのです。本稿を読まれた方が、一人でも動楽仲間になって、健康を取り戻されることを願ってやみません。
新型コロナウイルス感染症(以下、コロナと略します)は3年目にもかかわらず収まる気配がありません。以前書いたとおり、コロナは呼吸器感染症ながら生活習慣病的な要素が大きく関係しています。重症化しやすい基礎疾患には糖尿病、腎不全、肝不全、心不全等が挙げられていますが、それらはほぼ「生活習慣病」と言い切って差し支えのないものです。したがって、コロナについてはマスク、手洗い、うがい、ワクチンと言った予防対策に加えて、万一罹患した場合の重症化予防対策として生活習慣の見直しが必要である、と自分は主張しています。
コロナの重症化にはサイトカインストームと呼ばれる免疫暴走による炎症反応が関わっていると言われています。これをものすごく大雑把にかつ手っ取り早く言えば体脂肪が多い場合に分泌される物質が関わっています。もちろん体脂肪だけが重症化に関わっているわけではないのですが、体脂肪の多い人と、適正な人では前者の方が重症化しやすい可能性があるようです。
そもそも「肥満は万病のもと」と言われています。コロナのためだけに体脂肪を減らすのではなく、自身の健康を目的として減量する意識が大切だと思います。そして、それは今後の健康寿命を延ばす上で非常に大切です。自分もコロナの前から減量には取り組んできましたが、今後も体重や体脂肪に気を付けて生活を続けようと思っています。
前編でも述べたとおり、体脂肪は基本的に落ちにくいものです。では、体脂肪を落とすにはどうするのか。これは非常に戦略的な生活が必要になります。そして、そういう生活は案外楽しいものです。
しかし、世の中かえって情報があふれています。何を信じていいのか分かりづらい。そこで、文献だけでなく実際の体験も踏まえて減量について述べていきたいと思います。
1.あまり厳しい食事制限はしなかった
減量に関しては基本的に食事制限がセットになるのですが、前編でも述べたとおり食事制限だけでは体脂肪ではなく筋肉が分解されます。ただ、運動をしても食事制限がなければ効果はありません。食べる量と使う量でどちらが多ければ減量になるかは言わずもがなです。
しかし、自分は余り食事制限を厳格にはしませんでした。続かないからです。結局続けられないと意味がないので、空腹は我慢していません。とはいえ、ある程度意識はしました。
以前にも書きましたが、お菓子については初めは数日おきにしました。今は「何日おき」みたいな制限はしていません。食べ過ぎないように注意しています。食べ過ぎないためには買わないことがポイントです。でも買いたくなる日もあります。その場合はカロリーあるいは脂質の少ないものが重要なので、和菓子やラムネ菓子は買うけど、ポテチは買わない、チョコレートは時々と、栄養成分表を確認して買っていました。ちょっと多かった自覚があればその分運動量を増やすことで対応しました。
食事についてもタンパク質は多く、糖質は適量、脂質は良質かつ少なめを意識し、肉(特に鶏肉)、魚、乳製品、ダイズ製品、穀類などバランスよく食べていればOKとしました。腹八分目は意識しました。また、食べるときにできるだけ噛むことと、食事のはじめは野菜類から、なるべく三角食べをするようにも意識していました。そこまで難しいことではないと思います。なお、プロテインは使っていません。
人によって意見が分かれるのが飲み物です。実はお酒を元々飲まないんです。飲めないと言うべきでしょうか。煙草も吸いません。原則、水、お茶、炭酸水。さすがに夏場などはスポーツドリンクを飲むこともありましたし、たまにはジュースも飲みましたが、味のついた飲み物はなるべく飲まないようにしていました。自分にとっては「全然厳しくない食事制限」ですが、人によっては厳格に感じると思います。続けられる線引きをご自身で考えていただくのがよいと思います。
なお、糖質制限、低糖質、ロカボ、ケトン体ダイエット、ケトジェニックダイエット等(というかみんな内容は同じですね)の極端な食事制限は医学的にリスクが大きいです。心不全リスクの他、脂肪肝リスク、腎不全リスク、リバウンドしやすいなどの問題があります。糖質制限ダイエットは短期間で減量できるついでに寿命も縮めるので、絶対にやめた方がいいです。
それをやってるのがあの有名な結果にコミット社ですが、はっきり言って結果にコミットするついでにその人の寿命をミニットしています。
※なお、結果にコミット社はケトン体ダイエットを実施する際に管理栄養士の指導や血液検査で心不全リスクはきちんと管理しています。したがって利用しても、すぐに死亡することはないです。ただし、ローカーボダイエットは10〜20年前に米国で流行し、その後利用者の多くに心不全、脂肪肝や肝不全、腎不全が見られたという報告があります。そういった論拠を説明せずに減量効果だけを宣伝するのはちょっと違和感があります。ケトン体ダイエットは腎不全患者、人工透析利用者には腎不全の改善に効果があるという話もありますので、そういった方で行いたい方は必ず主治医と相談して下さい。
2.睡眠不足は難しい
前編にも書いたとおり、自分は宵っ張りなので、睡眠不足が肥満解消の敵なのは知ってますが、なかなかうまくいきません。今のところ、「1週間の内3日間は日付が変わる前にベッドに入る」「1週間の合計睡眠時間が45時間を下回らないようにする」ことは意識しています。ただ、正直これでは不健康なので、「1週間の内5日間は23時までにベッドに入る」「1週間の合計睡眠時間は50時間を基本とする」までは持っていきたいです。
3.体脂肪は運動で落とすべき
※運動を始める前に必ず主治医の診察を受け、運動種類や強度等の指導と許可を得て下さい。
結局体脂肪は運動で落とすしかないです。運動をすると、まずは糖質が消費されます。徐々に糖質だけでなく、脂肪細胞にため込んだ脂肪が使われはじめます。脂肪細胞の体脂肪が脂肪酸とグリセロールに分解され、脂肪酸が体内でエネルギー源となるのです。この時に、酸素と水が必要なので、発汗だけでなく運動中に給水が必要なほか、有酸素運動が体脂肪燃焼に有効と言うことが分かります。この時の運動ですが、心拍数が(220−年齢)×0.6程度で運動をするのが最も効率がよいようです。この心拍強度の場合、運動開始から15〜20分程度で消費カロリーの50%程度が体脂肪になると言います。残りの5割は糖質です。つまり、180キロカロリーを消費するウォーキング(体重50kgの人で1時間)をしても、体脂肪は最大でも半分の90キロカロリー分が使われます。そして、その重さはたった10グラムです。(体脂肪は1グラム9キロカロリー)いかに体脂肪を減らすのが難しいのか、分かることだろうと思います。
運動については色々試しましたが、ウォーキングが一番続けやすかったです。もちろん、ストレッチやラジオ体操も続けやすいのですが、さすがにラジオ体操を2時間近く続けるのはコロナで外出できなかった時期以外無理でした。はっきり言って飽きます。ストレッチ(柔軟体操)は重要で寝る前に継続できるとよいのですが、残念ながらストレッチだけで痩せることはないです。できればの話ですが、みんなの体操と、ラジオ体操第一、第二で約10分。これを準備体操にして、20分程度筋力トレーニングを全身くまなく行い、45分程度外でウォーキング、残り15分は整理運動としてストレッチ。これで90分です。これが週4日できるのが一番の理想ですが、ここまでできるのは1年間ですらそんなにないです。勤め人はつらいですね。
そもそも今(夏季)だと筋トレが暑すぎます。クーラー効いてる部屋でもすぐ汗だく。あと、自重筋トレはいきなり始めると関節が固まっているなどケガの恐れもあるし、正直勧めにくいです。自分はストレッチと有酸素運動を1年間続けて、やっと自重筋トレに入りましたが、それもスクワットをゆっくりじっくりが現在までメインです。とはいえ筋トレは不要かというとそうではないです。有酸素運動を続けすぎると使われない筋肉が分解されるそうです。体よ、そんなに体脂肪を温存したいのか。できれば筋力維持を目的として(本当は筋力強化を目的にしたい)、筋力トレーニングは是非とも加えたいところです。筋肉からは動脈硬化を抑制する物質が出ます。筋トレは血管の老化を遅らせるのです。
筋トレは体脂肪が減る、減らないが時々論争になります。確かにバーベルを使用した筋トレは基本的に無酸素運動なので、それだけでは体脂肪は減らないと思います。ただ、筋肉が肥大化すると血中の中性脂肪が消費されやすくなりますし、有酸素運動をすれば同じ強度でもより消費カロリーが増えます。何より無酸素運動で消費する糖質は、余れば体脂肪ですから、最終的に体脂肪は減ります。したがって体脂肪は筋トレ自体では減らないけれど、筋トレによる恩恵で減っていきます。適切なフォームで、適切な回数を継続できれば(これが難しい)必ず痩せます。
自重トレーニングはバーベルを使用するより費用がかからない、ケガのリスクが比較的低い(もちろん自重トレでもケガリスクはあります。程度の話です)、どちらかと言えば有酸素運動に近いので体脂肪も燃やしやすい、バランス感覚が養えるといったメリットがあります。もちろん、筋肥大しづらい面もありますが、ムキムキマッチョマンになる必要はありません。自重筋トレでも、適切なフォームで、適切な回数を継続できれば(これが難しい)必ず痩せます。
(実は1週間の筋トレ時間が130分を超えるとガンなどの病気に罹りやすくなると報告されています。これはおそらく、筋トレ時に発生する活性酸素が関係していると推測していますが、今後の研究で明らかになるでしょう。)
無酸素運動の反対、有酸素運動は主に水泳、自転車、ウォーキング、ジョギング、ランニングが挙げられます。もちろん、サッカーやバスケットボールでもいいのですが、仲間や相手が必要なので難しいところです。一人でもできる運動が主体になるでしょう。
この中で経験上、最も体脂肪が減ったのは水泳でした。実際、後述する運動強度「メッツ」も高めです。実は、水泳は浮力の影響で膝等の関節に負担がかからないので、ケガリスクが比較的低いです。ただ、血圧、心臓などに不安があると心不全(突然死)リスクがあります。水泳でのスポーツ災害件数は少ないのですが、発生した場合の死亡率は極めて高いです。水泳を実施出来るかは、特にメディカルチェックを受けることが望ましいでしょう。
水泳は痩せる、痩せない論争がありますが、これは経験上両方とも正しいです。自分が痩せたのは水泳経験者ではなく、ブックオフで買った本で練習したからです。フォームに無駄が多すぎるのです。フォームに無駄が多ければ、同じ距離を泳ぐにしても何度もストローク(漕ぐこと)が必要です。当然、カロリーが消費されます。また、ちょっと泳ぐとすぐに心拍数が上がるので、休憩したくなります。休憩すると体脂肪の燃焼効率が悪くなります。運動を継続することが重要です。自分は休憩せず、水中ウォーキングで息を整えてからまた泳いで…という流れで運動を継続し、休憩は1時間おきにしました。それでも90分くらいが限界で、それ以上泳ぐと足がつります。冗談ではなく、プールの真ん中で足がつると死ぬんじゃないかと思いますよ。片足で死ぬと思ったので、両足だったらと思うと恐ろしいです。
プールから出るととにかく腹が減ります。実は脂肪細胞の体脂肪が分解された遊離脂肪酸が血液中に増えると、摂食中枢を刺激して空腹を感じるのです。水泳はプール内の水で体温が奪われるため、寒冷刺激となり体脂肪がそもそも燃えやすいようです。
※実は夏季より冬季の方が寒さで熱が奪われ、体脂肪が燃焼しやすいそうです。少し肌寒い中で筋肉に負荷をかけて運動すると、脂肪細胞が白色からベージュに変わり、寒さにも強くなるとされています。
自分がやってきた運動で、水泳が最も運動後に空腹を感じたので、個人的に「体脂肪は水泳が最も減っている」と確信しています。そしてお腹が減るとご飯が美味しいですよね。しっかり食べてしまいます。ダメだこりゃ。したがって、水泳は痩せますが、その後の食事までコントロールできないと痩せません。
関節のケガリスクが少ない上に、体脂肪が大きく減るという、いいことばかりの水泳ですが、空腹のこと以外にも欠点があります。一般的な欠点は浮力のお陰で重力負荷がないので骨密度が上がらないことでしょう。成長期の子どもがスイミング教室に通うとよいのは心肺機能と筋力の強化が骨への刺激なしで行えるからなのですが(成長期への過剰な骨への刺激は身長の伸びを止めてしまいます)、大人の場合骨への刺激がないのは逆に欠点になり得ます。(ただ、これは、筋トレやウォーキングなどと合わせて行えばいいだけの話です。水泳ができる健康状態ならば、水泳の実施は勧められます。)
このご時世だと、運動時にマスクが装着できないのも痛いところです。一応、プール内の塩素で新型コロナウイルスは死滅するとされていますが、他にもマスクなしの利用者がいる訳で、感染リスクは当然高いです。でも一番は、続けにくいことが問題だと思います。60分がっつり泳ぐと、3日後にはものすごい筋肉痛に襲われます。週4日、90分泳ぎ続けられる体力(≒筋力、全身持久力)がある人は、そもそも肥満に悩む人ではないです。人によってはプールが遠いという問題もありますので、水泳で痩せるのはなかなか難しい気がします。
水泳同様ケガリスクの少ない運動に、自転車があります。ただし、この「ケガリスク」は関節へのケガなどスポーツ障害の話で、転倒や接触などの交通事故は含んでいません。自転車の場合、被害の他に加害の可能性もあるので、自転車対象の自賠責保険には必ず加入して下さい。
実は自分、自転車では痩せた実感がないです。コロナ前のスポーツジムでフィットネスバイクをこいだこともありますが、60分継続してもほとんど痩せませんでした。街中を自転車で走る場合、もっと痩せませんでした。
調べてみると、自転車のエネルギー効率は徒歩の6倍だそうです。同じ距離を走った場合、自転車は徒歩の1/6倍しかカロリーが消費されないという研究結果がありました。しかもこの研究結果は1977年、45年前のものです。当時の自転車で6倍ですから、現在ではもっとエネルギー効率がいいと思われます。この研究では自転車乗車時にエネルギー消費が大きくなるのは時速20kmと報告されていますが、近所のチョイノリで時速20kmなんか出るわけがないです。まして信号だの一時停止だのあります。守れば運動は継続できませんし、無視すれば交通事故リスクが高まります。そして、ある程度スピードが出ると漕ぐのを減らす人が多いでしょう。移動時間と有酸素運動時間が必ずしも一致しないのです。もちろん、自転車はマイカー、つまり自動車に乗ることに比べればまだマシだと思いますが、「自転車に乗ってるから大丈夫」というのはかなり危険な考え方です。
フィットネスバイクは痩せなかったのですが、全身持久力を維持、強化することには役立ちました。スポーツジムのフィットネスバイクは心拍センサーがあるので、目標心拍を維持し続けるのが簡単でした。また、60分続けてもそこまで大きな筋肉痛にはならなかったので、身体への負担も小さかったと思います。
つまり考え方の問題です。フィットネスバイクは身体への負担が小さくて痩せにくいが、心肺機能を維持強化するには適しているし、時間さえ取れれば週3日以上継続することも可能です。自分の場合は時間の都合で週1日〜2日程度が限界でしたから、週4日くらい継続できれば痩せたと言えたかもしれません。フィットネスバイクは、自分で購入する場合は別として、使用するためにはスポーツジムに入会する必要があります。ジムに通う時間の他、経済的な負担もある程度あります。日々の生活からお金と時間を捻出してジムに通い続けられる人は、運動に対してかなり強い意欲があると言えます。その時点で痩せることは決定的です。その人は、フィットネスバイクで痩せのではありません。意欲で痩せたのです。うーん、哲学。
ウォーキング、ジョギング、ランニングは歩く、走る運動です。ウォーキングは自転車の6倍カロリーが消費されますので、ジョギング、ランニングはそれ以上にカロリーが消費されます。実際、運動強度を表す「メッツ」は、時速10km程度のランニングで10とされます。体重によって変動しますが、30分継続し続けた場合300〜400キロカロリー消費されます。これは時速4kmで歩いたときに消費されるカロリーの3〜4倍に相当します。したがって走れば痩せます。それだけ走ることができるならば、の話ですが…。
ランニングの場合、片足だけで着地します。この場合、片足に体重の3倍以上の負荷がかかります。高い衝撃性(ハイ・インパクト)があり、ランナー膝(ランナーズ・ニー)などのスポーツ障害が出る恐れがあります。特に肥満体の場合は過体重ですから、より衝撃が片足に加わります。減量のために運動を始めても、それでケガして運動ができないのでは話になりません。
また、時速10kmのランニングですが、やれば分かりますがめちゃくちゃきついです。30分も継続し続けられません。その前に息が上がります。心臓もばくばくいきます。これを無理して続けると冗談ではなく、本当に死にます。運動習慣のない人が、いきなり無理をして突然死という話が多々ありますが、まさにこれです。心臓が止まるのです。運動中の突然死は運動負荷6メッツ以上で発生するようです。バスケットボールが6メッツだそうです。いきなりバスケやってケガをしない人はすでにある程度運動できる人です。最初から痩せてます。そして、そういう人は入念にウォームアップや準備体操をします。そういう人は運動中の突然死とは無縁です。
ジョギングは7メッツあります。ジョギングはゆっくり走るので、スローランニングと言い換えてもいいでしょう。ジョギングだけを継続することは難しいので、ウォーキングとジョギングを組み合わせるなどして継続し続けられるようにすることが重要だと思います。もちろん、ジョギングだけで30分以上継続できるよという人はいいのですが、何度も言っているとおりそういう人はそもそも肥満に悩んでいないはずなのでこんな辺境の今時黒バックフォントいじり個人ホームページ見てないで運動してきて下さい。
ウォーキングは4〜5メッツ程度の運動になります。今までで一番続けやすく、身体への負担が小さく、経済的な負担が小さく、実際に減量効果があったと実感できたのはウォーキングでした。交通事故を除外すればロー・インパクト、低衝撃性でランナー膝などのケガのリスクが少なく(もちろん歩き方が悪いとケガをします)、夏季の熱中症を別として突然死リスクも小さい運動です。つまり効果はジョギング、ランニングに比べて低いのですが、それ以上にリスクが低いのでメリットが大きいと言えます。そういう事情から、医師からもよっぽどの過体重は別として、ウォーキングは許可を得やすいと思います。
ところが、取っつきやすい分、ウォーキングについての情報もまた氾濫しています。次回は実際にやってみて、頻度等も含め、体脂肪を減らしたウォーキング体験について書きます。
ワクチン接種が進みながらも感染者数がなかなか減らない新型コロナウイルス感染症。ワクチン接種しながら感染した「ブレイクスルー感染」も増えているようです。ブレイクスルー感染者の重症化、死亡事例もあり、人によっては「ワクチンの意味がないではないか」と思われる人もいるでしょう。3回目接種どころか、今度は4回目だ、2価ワクチンだ、様々な情報に「いつ終わるんだ」とため息ばかりつくことも出そうです。
米国からの報告ですが、ブレイクスルー感染者での重症化、死亡事例のほとんどは、65歳以上の高齢者または基礎疾患をもつ人だそうです。基礎疾患は、慢性の臓器不全(心臓、肺、腎臓、肝臓)やがん、糖尿病、高血圧などです。これに肥満も加わります。
前述した基礎疾患の多くは発症に肥満が関わることが知られています。正確に言えば、内臓脂肪です。内臓脂肪が多いとお腹が出るだけでなく、大ざっぱに言えば血糖値が、血圧が、中性脂肪が、コレステロールがおかしなことになって(※大ざっぱすぎ)血管の異常である動脈硬化が進みます。メタボリック・シンドロームと呼ばれるこの状態では、メタボでないときに比べて心筋梗塞や脳梗塞の発症頻度が3倍程度まで上がります。
実は、新型コロナウイルス感染症では、重症化しやすい人はメタボ症候群と言いきってよいほどに基礎疾患がメタボに起因しています。実際、大阪府の吉村知事がTwitterで「重症化したや基礎疾患のない若者の半数以上がBMI30以上(※高度肥満)だった」と述べていましたし、医師の中には「基礎疾患はないと聞いていたが、入院者は肥満、喫煙者、脂肪肝、初期糖尿病のいずれかであった印象」とTwitterに書いている人もいました。
私は昨年3月、新型コロナウイルス感染症では、肺炎の際に内臓脂肪による免疫暴走でサイトカインストームが起きるという話を聞き、感染予防策だけではダメだと考えました。つまり、感染予防策だけでなく、万一感染した場合に重症化させないためには、体脂肪を減らし、さらには血流をよくして体内の抵抗力を上げる必要があると思ったのです。コロナ禍以前から体重、体脂肪を減らすべく努力をしていましたが、2020年3月に78kgあった体重は、2021年9月現在、69kgです。2018年12月の90kgから21kg減らしました。運動で減らしたわけですから、この21kgは基本的に体脂肪だと思われます。2022年7月では71kgになりましたが、腹囲は84cmから82cmに減りました。つまり、増えた分は筋肉で、体脂肪は減っていると思われます。
体脂肪は、コツさえつかめば減らすのは誰でも可能なのですが、この「コツ」を理解し、さらに実行することが個人によって多少難しい場合があります。実践には個人差こそありますが、「減らすコツ」への理解に個人差はないと思います。そこで今回は、「なぜ体脂肪は落としにくいのか、減りにくいのか」、書いていきたいと思います。
体脂肪が減りにくい理由はいくつかありますが、そもそも日本の(というか人類の)歴史で「飢餓の心配なく食料が手に入る時代」というのはここ数十年の話です。歴史上ほとんどは「いかに飢えから生命を守るか」が課題でしたので、「飽食の時代にカロリー過多から生命を守る方法」なんて、進化の命題に一切入っていなかったことです。そうなのです、基本的に人間の(と言うか動物全体は)生命維持システムにおいて、「飢餓には耐えられる仕組みが多いが、カロリー過多に対する仕組みは少ない」のです。
ちなみに飽食に対する仕組みは膵臓から分泌されるホルモンのインスリンだけで、これがダメになると糖尿病を発症します。糖尿病(2型)の原因には食生活の他に運動不足、睡眠不足、遺伝要素があり、実は食事や運動で気を付けていても発症する場合があるのですが(他の生活習慣病にも遺伝要素はあるので、運のいい悪いも確かにあります)、飽食と運動である程度予防出来る病気であることも確かです。
飢餓に耐えられる仕組みが「体脂肪を増やす」ので、現代日本であまり考えずに食生活を送ると大体の場合高カロリーとなり、体脂肪の増加を招きます。そうなる理由は、体内で余剰養分を体脂肪に変える上に、その変換が不可逆的な化学反応になっているからです。
主要栄養素である「糖質(炭水化物の中から食物繊維を除外したもの)」「タンパク質」「脂質」は多くの人がご存知だと思います。体内の余剰栄養素は、とても大ざっぱに言うと、肝臓で下記のような不可逆的な変化をたどります。
タンパク質 → 糖質 → 脂質
糖質 → 脂質
脂質
脂質!脂質!戻ってこいお前!タンパク質に!!
※したがって、体内の筋肉は分解されると糖質や脂質になるのですが(糖新生と言います)、体脂肪は筋肉にならないと言うことです。「筋トレ前に体脂肪を増やせ」というのは迷信です。
つまり、余ったタンパク質は糖質にも脂質にもなります。余った糖質は脂質になります。脂質は脂質のままです。そして脂質は、使用されない場合は体脂肪として体内に蓄えられます。しばしば「体脂肪減少には糖質を摂りすぎないこと」という話が出ますが、糖質が消費され切らなければ最終的に体脂肪になります。したがって、「糖質を摂りすぎない」という話は、おおむね間違っていないということになります。
(※なお、これは余剰分の話ですので、「タンパク質だけ摂っておけば糖質は必要ない」ということではありません。糖質も脂質も、一日の必要分は摂取する必要があります。また、この変換はそれなりに肝臓には負担ですので、「余剰栄養素が大きく出ない食生活を送る」「余剰分は運動で消費する」ことが必要です。)
こういう話をすると、しばしば出てくるのが「じゃぁ食べなければ痩せるんだな」という考え方です。「摂取カロリー < 消費カロリー」なら痩せるというのは理解されやすいでしょう。実際、世の中のダイエット方法では食事制限の有無が惹句になっているものが多い印象です。「ダイエットに空腹はつきもの」という感覚をお持ちの方もおそらくいらっしゃることでしょう。
確かに、食べなければ、食事制限をすれば体重は減ります。しかし、その場合、減るのは体脂肪ではありません。食事制限をして飢餓状態となった場合、体は「どうやら食事にありつけないようだ」と判断します。結果、体の中で無駄なエネルギーを消費している部分を分解し、省エネモードになります。つまり、筋肉が分解され代謝が落ちます。筋肉は重いし、あるだけでエネルギーを消費し続けるからです。分解した筋肉(つまりタンパク質)は、前述した肝臓で糖質から脂質へと変換され、最終的に体脂肪となって体内の脂肪細胞に蓄えられます。しばしばスポーツ選手が引退したら練習しなくなり、筋肉が減って脂肪が増えたといいます。これは現役時代の食習慣が抜けないことの方が大きいと思っていますが、筋肉が糖新生回路で変換されて体脂肪になった面もあると思われます。
※なお、もう一度言いますが、筋肉は体脂肪に変換されますが、体脂肪はどう鍛えても筋肉になることはありません。つまり、「脂肪を鍛えて筋肉にしなきゃ」という物言いは、科学的には間違いといえます。
減ったのは体脂肪ではなく筋肉ですので、代謝が落ちてより太りやすい体になっています。ここで食生活を戻せばリバウンドが起きます。極端な食事制限で行われるダイエットがほぼ失敗に終わるのはこういう事情です。
したがって、体脂肪を減らす場合は、バランスのよい食生活が大前提です。その上で、摂取カロリーが一日の必要摂取量2000キロカロリーから1割〜2割程度少ないくらいで、日常の移動がある程度徒歩になれば普通は徐々に減少するはずです。
ところが、それで確実に体脂肪が減少すると言いきれないのが人間の体の不思議なところです。現代日本だとこれで減少する人の方が少なくなった気がします。理由は睡眠不足と精神的ストレス、そして運動量低下に伴う筋肉不足です。
睡眠不足と精神的ストレスですが、現代日本の国民病みたいなものでしょう。原稿のこの部分は夜中の0時半過ぎに書いてますが(いい加減寝ろよという話ですが、洗濯が終わらないのです)、私自身も睡眠不足です。さらにいえば、仕事をはじめ様々な人間関係、あるいは社会的な不安から来る精神的ストレスは私も多々あります。これらのことが起きた場合、なぜか体は「大変だ、どうやら食事にありつけないっぽいから夜中に起きてるし、興奮状態なんだな。」という早合点をするようなのです。結果、なぜか体脂肪が増えてしまいます。しっかり睡眠を取って、精神的にリラックスして、その上でカロリーコントロールが必要なのですが、「こんなに仕事が忙しくて睡眠を取れ。リラックスしろ。」というのはなかなか難しい話です。現に私は出来ていないわけです。ですから、私の場合「通常より体脂肪が増えやすい状態である」という意識はもつようにしています。
それから、精神的ストレスの結果、お菓子の過食を招く場合があります。これは煙草、お酒の場合もあるでしょう。お酒、煙草、お菓子、いずれも体脂肪を増加させます。お酒のアルコールや煙草のニコチンは肝臓で中性脂肪合成を促進させます。お菓子は言わずもがな、糖質と脂質の塊です。この中ではお菓子が最も依存性が低いので、私はどうしても精神的に必要だと判断した場合、食べます。ただ、あらかじめ量を決め「これは食べたいのではなく、ストレスが理由である」「だからこれ以上は食べない」と自覚してやります。お菓子であれば無尽蔵に食べなければ後の運動で比較的取り返せます。お酒と煙草の場合、少量でも内臓にダメージが蓄積されます。特に飲酒と喫煙では糖尿病や慢性腎臓病の発病を招きやすく、この疾病はワクチンを打ったとしても感染するブレイクスルー感染で重症化、死亡する可能性が高い条件です。そもそもコロナ後でもCOVID-19で死亡・重症化しないために体脂肪を減らそうと言う話なのに、体脂肪は減ったけどコロナ重症化の可能性が上がりましたでは話になりません。ですから、飲酒と喫煙はコロナ後を見据えてコントロールする必要があるでしょう。
また、精神的ストレスは運動を億劫にさせることがあります。前述の通り、筋肉不足も基礎代謝が落ちますので、億劫で動かないと運動量低下に伴う筋肉不足も消費カロリーが減ります。当然、以前より体脂肪もたまりやすくなります。
では、これらの反対をすれば体脂肪は簡単に減る…というものでもないのです。
次回、体脂肪をいかにして減らすのか。中編、後編へ続く。